不動産を売却すると、分離課税といわれる方法で所得税と住民税を納める必要があります。
確定申告で悩まないためにも、この分離課税とはどのようなものなのかを理解しておきましょう。
そこで今回は尼崎市で不動産の売却を検討されている方に向けて、分離課税とは何かをご説明いたします。
不動産売却で適用される分離課税とは何か
分離課税とは、特定の所得に対して課せられる税金のことをいいます。
給与・利子・配当などは、合算額に累進税率を掛けて税額を算出する「総合課税方式」が適用されます。
一方で退職金・山林所得・家の売却などによる譲渡所得には「分離課税」が適用され、ほかの所得とは合算せずに税額を算出しなければなりません。
合算するほうが計算も楽だと感じるかもしれませんが、家を売ると一度に大きな金額を所有するので、総合課税方式によって高い税率が課されるのを避けるために、給与などとは別に税金を計算するのです。
不動産売却における分離課税の計算方法は?
不動産の譲渡所得は、次の計算方法によって算出します。
●譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
譲渡所得とは実際に家が売れた金額ではなく、購入費や売買契約にかかった費用を引いて残った利益のことをいいます。
また建物は年数の経過とともに資産価値がさがるため、減価償却費を差し引く必要もあります。
そのため不動産売却により一時的に大きな金額を所有したとしても、利益が出なければ税金を納める必要はありません。
分離課税は利益が出ない場合に損益通算はできませんが、居住用の住宅で条件を満たせば、ほかの所得利益から損失分を相殺することもできるので、損益に関わらず確定申告をおこないましょう。
不動産を売って利益が出た場合は、分離課税によって税金を納める必要があり、次の計算方法によって算出します。
●短期譲渡所得の税率:所得税30パーセント+復興特別所得税0.63パーセント+住民税9パーセント=39.63パーセント
●長期譲渡所得の税率:所得税15パーセント+復興特別所得税0.315パーセント+住民税5パーセント=20.315パーセント
譲渡所得は不動産の所有期間によって税率が異なり、5年を境に短期譲渡所得と長期譲渡所得にわけられます。
期間は売却した日ではなく、不動産を取得した日から売却した年の1月1日までで考えるので注意しましょう。