不動産を売却した際に利益を得た場合、翌年の所得税が上がることは知られていますが、健康保険料がどうなるのかを知っている人は意外に少ないかもしれませんね。
不動産を売却すると、健康保険料が上がる可能性がありますよ。
そこで今回は、不動産の売却を検討している方へ向けて、売却による健康保険料への影響について解説します。
不動産を売却した際の健康保険料への影響とは?
不動産の売却が健康保険料に影響するかしないかは、保険の種類によります。
まず社会保険に加入しているサラリーマンは、給料を基にした標準報酬月額を基準に健康保険料が算出されるので、もし売却によって利益を得ても、保険料には影響しません。
共済組合保険に加入している公務員の場合も、標準報酬月額が基準になっているので、サラリーマンと同じく影響はありません。
国民健康保険に加入している自営業の方は、毎月の収入が給料のように決まっているわけではないので、標準報酬月額を基準にするのではなく、前年度の所得金額を基に保険料を算出します。
つまり国民健康保険の場合は、不動産の売却で利益を得れば所得が増えるわけですから、保険料が上がるのです。
保険料が影響するのは、国民健康保険料のなかの「医療分」であり、さらにそのなかの「所得割」の部分です。
金額は、前年の所得の合計から基礎控除(33万円)を引いたものに、各市町村が定めた税率を掛けて計算します。
たとえば前年度の所得が300万円で、市町村の税率が7%だった場合は、300万円から33万円を引いた267万円に7%を掛けた、18万6900円が所得割の金額です。
不動産の売却によって、前年度の所得が400万円になった場合の所得割の金額は、400万円から33万円を引いた367万円に7%を掛けた、25万6900円になります。
このケースの場合ですと、所得が100万円増えたことによって、国民健康保険料が年間7万円上がることになるのです。
不動産を売却した際に国民健康保険料が上がるのを抑えるポイント
国民健康保険料が上がるのを抑えるためには、次のようなポイントを知っておいてください。
●経費を計上する
●取得した費用がわかる書類を揃える
●特例控除を利用する
不動産の売却で得た利益とは、販売価格から経費や取得費を差し引いたものです。
つまり売却にかかった経費や、取得した際の費用をしっかりと調べて計上することが大切です。
また特別控除を受けることができる可能性があります。
この場合は適用後の金額に対して保険料が算出されるので、大幅に抑えることができますよ。