配偶者の扶養に入っている人が、相続などで所有した不動産を売却するというケースは多々あります。
そのときに心配なのが、不動産を売却したことで配偶者控除から外れるのではないか?という点です。
そこで今回は、不動産を売却した場合の配偶者控除についてまとめてみました。
そもそも配偶者控除とは?不動産売却で外れる対象となるものは?
まず配偶者控除とはなにか確認しておきましょう。
配偶者控除とは
配偶者控除とは、「納税者の配偶者の年間合計所得金額が一定以下の場合、納税者の課税対象となる所得から一定金額が控除され、所得税や住民税を少なくする制度」のことをいいます。
配偶者控除を受けられる条件とは
配偶者控除を受けるには、次の条件を満たしておく必要があります。
●民法の規定による配偶者であること(内縁関係ではない)
●納税者と生計を一にしていること(日常の生活の資を共にすること)
●年間の合計所得金額が48万円以下、給与のみの場合は給与収入が103万円以下である
●青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
●控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下である
不動産売却によって外れる可能性があるものとは?
配偶者の扶養に入っていて配偶者控除を受けている場合、不動産売却の譲渡所得によってはそれらから外れる可能性もあります。
社会保険の扶養からは外れない
健康保険と厚生年金を合わせた「社会保険」においては、不動産売却による一時的な収入は関係がないため、扶養から外れるといったことはありません。
配偶者控除からは外れる可能性がある
所得税や住民税などの税金に関する「配偶者控除」においては、先述の通り年間の合計所得が配偶者控除を受けるための条件として関わってくるため、譲渡所得の金額によっては外れる可能性があります。
不動産売却によって配偶者控除から外れないための対策とは
不動産の売却によって配偶者控除から外れないようにするための対策もないわけではありません。
それは、配偶者に不動産を贈与しその後売却するという方法です。
たとえば夫の扶養に入っていて配偶者控除を受けている妻が不動産を相続した場合、それを夫に贈与してから売却をおこなうと、妻は夫の配偶者控除から外れることはありません。
しかし気を付けたいのは、不動産を贈与すると「贈与税」と「登録免許税」が発生するという点です。
あらかじめ、妻が配偶者控除から外れた場合の所得のマイナスと、贈与税や登録免許税の費用のマイナスや手続きの煩わしさを比較しておくといいでしょう。