大阪湾に面する尼崎市には、5つの運河が流れています。
運河とは、運輸や給排水などの目的で人工的に作られた川のこと。
尼崎運河は現在でも貨物船の航路として利用されていますが、近年新たな活用方法も見いだされつつあります。
そんな尼崎運河の歴史と活用法について解説します。
尼崎市で活用されている運河の歴史とは?
尼崎市の運河は昭和9年から造成計画がスタートし、整備を繰り返されながら昭和17年ごろにほぼ今の形となりました。
尼崎市周辺は明治時代後期から工業化が進んでいた地域で、運河を活用することでさらなる発展を遂げてきました。
しかし、工業が発展するにつれて工場での地下水汲み上げが盛んになり、その影響で地盤沈下が進んでしまいます。
台風による洪水などで大きな被害を受けることが増えたため、昭和30年に閘門(こうもん)式防潮堤が建設されました。
閘門とは水量を調整するための水門のことで、水位の異なる水路でも航行を可能にする船のエレベーターです。
この閘門式防潮堤により、高潮や洪水による浸水被害が軽減できるようになりました。
国内屈指の大きさを誇る尼崎閘門は、通称「尼ロック」と呼ばれています。
高度経済成長期には、鉄鋼や機械、化学などの各種産業が急速に発達してきた尼崎市。
それと同時に騒音や大気汚染などの問題も顕在化し、公害対策が叫ばれるようになりました。
現在の尼崎運河は、水質改良によりすべて環境基準を満たしており、市民憩いの場としても親しまれています。
近年見直されてきた尼崎市の運河活用方法とは?
水運の拠点として今でも利用されている尼崎市の運河ですが、近年では新たな活用方法も見いだされてきています。
その一つがスポーツ。
運河ではカヌーやパドルボードといったウォータースポーツが楽しめます。
また、運河沿いには遊歩道や自転車道が整備され、ランニングやサイクリングを満喫できます。
「尼っこリンリンロード」は全長約11キロメートルのサイクリングロード。
工業地帯や尼ロックを眺めながら、ランやバイクを楽しめます。
工場夜景を堪能しながらのナイトサイクリングもおすすめです。
スポーツ以外に注目されている尼崎運河の活用方法が、市内の小学生を対象とした環境学習です。
運河の歴史や水質、生物などについて、現地での観察や実験を通して学んでいます。
また、市民ボランティアによるガイド活動もおこなわれています。
「尼崎キャナルガイド」の名で活動している、運河の魅力をPRするための団体です。
工場見学や運河を眺めながらの散策などの案内役や、小学生の環境学習のサポートなどをおこなっています。
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