借地権とは土地の貸し借りをおこなった際に借りる側が持つ権利です。
この借地権の種類によっては物件の譲渡や増改築をおこなう際に地主の承諾が必要になります。
そのため、不動産を売却する際には借地権についても知っておくことが重要です。
借地権にはどのような種類があるのか、どんなときに登記が必要なのかを見ていきましょう。
借地権の登記が必要になるケースとは?
借地権は地上権と賃借権の2種類が存在し、地上権が設定されていた場合は貸主に登記義務が発生します。
地上権は借地上の建物や工作物、竹木を使用するために他人の土地を借りる権利です。
そのため、貸主に許諾を受けずに建造物の使用や補修、譲渡が可能できる借主側に有利な権利となっています。
地上権が通常の物件に設定されていることは少なく、上空の電線や高速道路、地下のトンネルなどに部分的な地上権が設定されているケースが多く見られます。
一方の賃借権は貸主の許可を得て物件を使用する権利のため、譲渡や大規模な増改築には貸主の承諾が必要です。
多くの場合、借地権といえばこの賃借権について言及することが多いでしょう。
賃借権は基本的に登記不要ですが、相続や譲渡によって借地権を取得したとき、借地契約を解消するときには登記が必要になります。
また、賃借権で借地契約を結んだ際は土地の登記は必要ありませんが、新しく建物を建てる場合には別途登記が必要です。
必要ない場合でも借地権の登記をおこなうメリットは?
賃借権の契約において譲渡や相続がおこなわれていなければ登記をおこなう必要はありませんが、登記によって生じるメリットも存在します。
貸主側のメリットとしては公正証書による権利の証明が可能になる点が挙げられるでしょう。
50年以上の期間が設定可能な定期借地権など長期の借地契約を結んでいた場合、契約解消時に書面が紛失してしまう可能性があります。
契約解消にともなって何らかのトラブルが発生した場合、通常の書面で契約を済ませていると紛失した際に権利の証明ができませんが、登記をおこなっていれば公証役場で再取得が可能です。
一方、借主側にとっても借地権の登記は自身の権利を明確にするために役立ちます。
通常は借地権の登記をおこなっていなくても建物に対する登記をおこなっているので問題はありませんが、不慮の事故や災害で建物が失われた場合などは、他人の権利主張に対抗することが難しくなるでしょう。
不測の事態が発生した際に、貸主借主ともに自身の権利を明確にできる点が借地権を登記する大きなメリットなのです。