不動産を売却する際、売主は現在把握している瑕疵について買主に正直に伝える告知義務があります。
瑕疵には4種類あり、物理的瑕疵・環境的瑕疵・心理的瑕疵・法律的瑕疵すべての瑕疵について告知しなければなりません。
今回は、心理的瑕疵に焦点を当て、環境的瑕疵との違いや売却時に与える影響についてご紹介します。
不動産売却における心理的瑕疵とは?環境的瑕疵との違い
心理的瑕疵が伴う不動産は「事故物件」とも呼ばれ、いわゆる心理的苦痛を抱く可能性がある不動産のことです。
過去に事件や事故があったり、自殺や孤独死があったりと、その家の中で心理的に嫌悪感を抱くような事象が過去に起きている場合は、「心理的瑕疵がある不動産」として告知する必要があります。
一方で、混同されがちな環境的瑕疵とは「不動産の周辺に暴力団組織の事務所があったり」「騒音や異臭問題のある建物があったり」と、現在起きている環境的な事象が該当します。
心理的瑕疵と環境的瑕疵との違いを理解しておき、本来の住み心地を阻害する事象となりますので、売却に少なくない影響を及ぼすことを覚えておきましょう。
不動産売却における心理的瑕疵には告知義務がある!
心理的瑕疵は、売却時に買主に正直に伝えなければならない告知義務があります。
しかし、心理的瑕疵のある不動産は、通常よりも売却価格が安くなるケースがほとんどのため、隠したいと思う人も多いでしょう。
心理的瑕疵の告知義務を怠って隠した場合、契約不適合責任が適用され、契約が破棄されるだけでなく、損害賠償を請求される恐れもあります。
結果的に大きなトラブルに発生してしまうため、あらかじめ告知義務を守って売却活動をおこないましょう。
心理的瑕疵として告知すべき事象に関して、いつまでさかのぼって知らせるべきかといった、正式な規定はありません。
過去の判例においては、自殺は7年前が目安とされていますが、賃貸物件では3年とされる場合もあり、明確なガイドラインはまだ定められていないのが現状です。
心理的瑕疵については、人によって捉え方が違うといった難しい反面もあるためトラブルに発展しやすく、今度明確なガイドラインが作成される見込みです。
いずれにしても、どのような瑕疵であっても売主には告知義務があるため、誠実な対応を心掛けましょう。